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とちぎの文化財

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1999.01.18

【紙本墨画 渓橋雪月図】

  • 文化財種類:県指定等文化財
  • 市区町村:宇都宮市
  • 区分:有形文化財(絵画)
  • 種類:指定

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●指定年月日

平成11年1月18日指定

所在地

宇都宮市仲町

アクセス方法

 

公開状況  

 

所有者又は管理者

生福寺

●文化財概要

幕末期、江戸画壇の大御所谷文晃の写山楼門に組する田崎草雲(1815~1898)は、あばれ梅渓と異名をとった遊歴画家時代、足利藩戸田候のお抱え絵師時代、維新後足利の地に腰を据えて画道に専念した隠棲の画家の後半生と、それぞれに真摯な画家人生を歩んだといえる。
古画や舶載中国画の研究や基礎画法の学習といった伝統的修養を怠ることなく、また維新後の圧倒的な西洋画家の流入に対しても、日本絵画のアイデンティティを掘り下げ、日本人の豊かな感性を高らかに謳い上げる心意気は胸のすく思いをさせるものである。外国人のジャポネズリー(日本趣味)を喚起させた草雲画の鈍化された日本絵画の独自性は改め再評価に値するものであろう。
本図は船載中国画の学習を通じて次第に築かれていった表出の強いいわゆる「ゴリッとした」典型的な完成期の草雲山水図一つであり、遠目の聞く豊かな空間表現と正確な画面構成は見事である。紙地を白く残して雪を表し、厳寒の大気を凍らせるような自然の厳しさが看る者の琴線を打ち快い。
陳造の渓橋雪月の詩の意に沿って描いたものと記し、仙霞嶺山脈の天台二奇として詩にうたわれた赤城山と瀑布の光景、特に天台石梁と呼ばれる神秘的な渓橋のイメージが下敷にあるものと解される。なお、地元足利の修験の山行道山の有名な夢の懸橋もダブルイメージとして重なっていると見てよいかも知れない。
草雲独自の画境が既に完成しているといえるが、草雲に山水画の良さを開眼させるきっかけを作ったという明末の画家盛茂煩の技法や樹木表現を見ているとることもでき、興味深い。
本図は、田崎草雲の完成度が高くインパクトの強い円熟期の力作であり、また大画面の大作であることから、すでに指定済みの「寒山行旅図」に似た草雲山水の代表作として高く評価してしかるべきであろう。