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とちぎの文化財

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1994.01.28

【絹本著色 釈迦三尊像】

  • 文化財種類:県指定等文化財
  • 市区町村:佐野市
  • 区分:有形文化財(絵画)
  • 種類:指定

(けんぽんちゃくしょくしゃかさんぞんず)

●指定年月日

平成6年1月28日指定

所在地

佐野市金井上町

アクセス方法

 

公開状況  

 

所有者又は管理者

惣宗寺

●文化財概要

釈迦如来坐像 一一二.五 × 四七センチメートル
両脇侍像    一〇九.〇 × 三九.五センチメートル

南北朝時代 作者不詳

 本作品は京都嵯峨野の天台宗寺院二尊院所蔵の元代仏画(重文)を原本として、鎌倉末から南北朝期にかけての良質な臨写本である。
 衣文に若干の変化を試み、釈迦の印相を替えその台座下方の化仏を省略、普賢の持物を逆方向にしたり獅子の顔の向きを幾分変えてみたりと、部分的な図様の改変こそ見られるが、おおむね原画に忠実である。また、蓮華の花弁表現の鮮やかな肉色から白への諧調の美しさは秀逸で、法隆寺蔵蓮池屏風の流れを思わせるものがある。ただ、釈迦の光背の放射状の光の筋は、明らかに同じく二尊院所蔵の「十王図」の一図、変成王の図の上部に描かれた弥勒像の表現法を取り込んだものである。
 この絵画の特徴としては下記の3点が挙げられる。
1 浄土信仰の浸透の中で、来迎の阿弥陀とともに、これを遣わせる、いわゆる派遣の釈迦が欣求浄土の祈りの対象としてもてはやされたことを示すものであること。
2 二尊院との直接関係を背景に行光など土佐派に繋がる作家の制作の可能性もあって、土佐中務大輔経隆筆との伝承もあながち的外れではいこと。
3 文化庁本、常盤山文庫本との比較においても遜色なく、「十王図」との関連からして、若干時代が降下した行光の活躍する14世紀第3四半期の南北朝期の優れた仏画としてよいこと。
 画面の状態はかすがいや後絹による補修は顕著であるが比較的良好であり、また補筆も最小限に抑えられている。黒塗りの箱の表には「文殊・釈迦・普賢三幅対 土佐中務大輔経隆筆」とあり、土佐派の初祖として伝説的な画人、経隆の手とするが、経隆自体その作品・伝記も定かではない。