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とちぎの文化財

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2022.09.20

【くるま橋遺跡出土銅造阿弥陀如来坐像】

  • 文化財種類:県指定等文化財
  • 市区町村:下野市
  • 区分:有形文化財(考古・歴史資料)
  • 種類:指定

(くるまばしいせきしゅつどどうぞうあみだにょらいざぞう)

●指定年月日

令和4年9月20日指定

所在地

下野市紫 栃木県埋蔵文化財センター

アクセス方法

JR小金井駅から車で約10分

公開状況  

 

所有者又は管理者

栃木県

●文化財概要

 本像は、真岡市石島に所在するくるま橋遺跡から出土した鋳銅製の阿弥陀如来坐像である。
 くるま橋遺跡は、南流する五行川右岸の真岡台地上に位置する、古墳時代から近世にかけての遺跡である。本像が出土した竪穴住居跡は、ゴボウの作付けによる撹乱が著しいが、原位置を保っていた遺物として、本像のほか、土師器片11 点、鉄釘片1点が報告されている。本像は、本住居跡の南東隅付近の人為的な埋め戻し土と思われる覆土最上層から仰向けの状態で出土した。このことから本像は、住居廃絶後の竪穴内に安置(または埋納)されたものと推定される。また、出土した土器の年代観から本住居跡は9世紀末葉から10 世紀代の所産と考えられる。

【本像の特徴】
 本像は、全身を一鋳で造った像高8.9 ㎝の小像である。背面と地付き部以外の表面は現状では金色を呈するが、通常の鍍金とは状態がやや異なり、どのような技法によったのか、またこれが当初の仕上げかどうかはともに未詳である。
 頭部は肉髻と螺髪の境を明瞭にあらわさない平安時代前期の仏像に時々見られる形を示し、阿弥陀如来の定印を結び、背を反らして足を強く組んで座る。衲衣は両肩を覆う通肩にあらわされる。この形は平安時代の如来坐像としてはやや珍しい。衣文は細かく丁寧に表現され、像全体の均斉のとれた姿と相まって小像とは思えない気宇の大きさを示している。当初は光背及び台座が付属していたと考えられるが、現在は失われている。なお、像は後ろに著しく傾いた形で座るが、像底にはとくに後世に修整された痕跡はない。当初からこの姿だったと思われるが、このような姿勢の像はほかにほとんど知られない。
 これらの技法、表現の特色から、本像は平安時代の中でも9 世紀末から10 世紀前半を中心とする時期の造像である可能性が高い。

 本像は、その作風、表現が優れ、また極めて高い技術で造られた平安時代の鋳銅像の優品であり、古代の当地方における仏教信仰の様子を知る上でも貴重な資料である。