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とちぎの文化財

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1993.02.19

【刺繍 涅槃図】

  • 文化財種類:県指定等文化財
  • 市区町村:宇都宮市
  • 区分:有形文化財(工芸品)
  • 種類:指定

(ししゅうねはんず)

●指定年月日

平成5年2月19日指定

所在地

宇都宮市塙田

アクセス方法

 

公開状況  

 

所有者又は管理者

慈光寺

●文化財概要

日本における涅槃図はおおむね大乗系の涅槃経によって描かれており、大雑把に二つの系統がある。一つは応徳三年(1086)銘の金剛峯寺本をはじめとする平安時代の作品で、後世その影響のもとに描かれた図様である。形式的には釈迦を画面中央に大きく描き、宝台上に横たわる釈迦を足元から見つめるもの。もう一つは、鎌倉以降にあらわれた新しい形式で、釈迦を比較的小さく描き、周囲の菩薩や天部、動物の多い図様である。また画面の雰囲気も賑やかで大げさであり、地に伏して泣き悲しむ姿が描かれている。本図は後者の特徴を持った涅槃図である。
刺繍をもって仏を現す繍仏の作成は古く、飛鳥・奈良時代はことのほか製作が盛んであった。平安時代に一次さびれるが、鎌倉時代になり浄土教の勃興とともに再び製作されるようになる。図相も阿弥陀三尊象や六字名号、及び種子であらわしたものが多く、本図のような大幅でしかも人物や動物の多い複雑な図柄の涅槃図は作例も少なく貴重である。
本図は6枚(1枚横幅37.4センチ)の絹地を横に継ぎ合わせ、その絹地に薄墨で下図を描き、色の指定を書きこんでそこに刺繍をしたものである。宝台の部分は別に製作したものを金糸で縫い付けてある。
左下方に6行24文字の願文と4行51文字で願主・製作者の名前が刺繍されている。
銘文中の古河紺屋は現在も古河市紺屋町の地名であり、隣接する中央町の隆岩寺には正徳四年(1714)製作の繍仏涅槃図が伝存している。本図より少し大きく縦長であるが、ほぼ同一の図様である。県内にも、他に江戸期の繍仏涅槃図が確認されている。
慈光寺本は天保11年(1840)と昭和29年(1954)の2回修理されている。しかし、保存状態は良好である。