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とちぎの文化財

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2009.02.06

【飛山城跡出土墨書土器(烽家銘)】

  • 文化財種類:県指定等文化財
  • 市区町村:宇都宮市
  • 区分:有形文化財(考古・歴史資料)
  • 種類:指定

(とびやまじょうせきしゅつどぼくしょどき(ほうかめい))

●指定年月日

平成21年2月6日指定

所在地

宇都宮市竹下町 とびやま歴史体験館

アクセス方法

JR宇都宮駅西口よりJRバス(道場宿経由茂木行き・祖母井行き・清原台団地行き)下竹下バス停下車徒歩15分

公開状況  

公開
とびやま歴史体験館にて常時公開

所有者又は管理者

宇都宮市

●文化財概要

 昭和52年(1977)3月に国史跡に指定された飛山城跡は、宇都宮市教育委員会によって、平成4年度(1992)から史跡の整備に先立つ発掘調査が行われ、城の構造や変遷の解明が進められた。その調査の中で、平安時代の竪穴住居跡のほぼ中央の床面直上から「烽家」と墨書された須恵器の坏が出土した。
 「烽」は、『和名類聚抄』に「度布比」とあって「とぶひ」と読み、烟(えん)火(か)や火をあげて緊急事態を知らせる軍事通信手段である。一方、「家」は「け」、または「宅」に通用する「家」の読みである「やか」が転じて「やけ」と読むところから、「烽家」は「とぶひのやけ」「とぶひや」などと読まれていたのであろう。こうした読みが、中世になっても「富山」「鴟山」「飛山」などの漢字を当てて、この地に伝えられたものと思われる。また「家」には、古代の官道の「駅家(うまや)」や郡の役所である「郡家(ぐうけ)」などのように施設を示す意味があることや、同遺跡内の出土墨書土器に「門上」と施設の所在を示唆する用語が書かれていることから、「烽家」は「のろしを上げる施設」と理解すことが妥当であろう。
 これまで、東国における烽の設置については否定的な見方が一般的であった。ところがこの墨書土器が出土したことにより、こうした見解に再考を迫る結果となった。また、『「烽家」とは「烽処」を誤って記載したものである』との解釈に対し、「烽家」の記載が正しかったことも証明するところとなった。
 このように、本墨書土器は「烽」研究に新知見を加えたうえに、今までの歴史的な解釈の修正を迫る極めて貴重な遺物である。現在においても、全国唯一の「烽家」と書かれた墨書土器であり、栃木県指定文化財として保護し、その価値を後世に伝える必要がある。